Sales playbook

「AIエージェント」ではなく、経営が払う言語で売る

相手が買うのはノード数ではなく、時間・お金・集中の改善です。提案から初受注までの実務手順に整理しています。

Step 1診断
Step 2構築
Step 3価値化
Step 4価格
0 · 先に押さえる考え方

経営が見ている軸は三つだけ:時間の削減、お金の損得、集中を奪うノイズの除去。届け方が AI でも人でもツールでも、評価軸は同じです。

「ツール名」で売らない。チャットボットやワークフローは手段。最初に出すべきは「週何時間が消えるか」「ミスでいくら出るか」「何が中断されるか」です。

差別化の方向:技術の複雑さより、相手の業務を言語化し、優先順位を付け、小さく動くものを早く見せること。初回の有料案件でも、派手さより痛みの除去が説得力になります。

1 · フレーム(診断→構築→価値化→価格)
1

診断

どこで時間・お金・集中が漏れているか。火事になっているプロセスはどれか。頻度・担当・時給換算・ミス率まで聞く。

2

構築

その痛みに直結する最小システム。最初は本番完璧でなくてよい。理解の共有と効果の検証が目的のプロトタイプでよい。

3

価値化

削減時間、削減コスト、売上・回収への寄与を数字にする。曖昧な「効率化」で終わらせない。

4

価格

年間で換算した価値に対し、明確に割安な投資として置く。「コスト」ではなく「回収できる投資」に見えるように説明する。

例(オンボーディング) 週5時間 → 自動化で8割削減 → 年間200時間超・時給換算で年間の金額イメージ → その一部を一回の構築費用として提示。

2 · 手順① ニッチと「痛みの型」を決める

目的:同じ悩みが繰り返す領域に集中し、事例とテンプレが積み上がるようにする。

  1. 扱う業態を一つに絞る(例:代理店、不動産、EC、コーチ、地域サービス、SaaS など)。複数候補ならメモし、フィルタにかける。
  2. 次の三つを満たすか確認する:週次で繰り返す作業がある意思決定と支払が速い自分が言葉と文脈を持てる
  3. その業態で多い「痛みの型」を3〜5個書き出す(例:リード選別、オンボーディング、レポーティング、コンテンツ運用、問い合わせ一次対応)。
  4. 自分が最初に手を入れる一題を仮決めする。広く浅くしない。
3 · 手順② 5〜10社と聞き取り、数値で並べ替える

位置づけ:情報収集兼ディスカバリー。営業プレッシャーを下げ、学び目的で日程を取りやすくする。

初回メッセージの骨子:業界のボトルネックを整理していること、短時間で数値化して返すこと、相手の都合優先であること、押し売りしないことを一文ずつ入れる。

件名例:〔業界〕の「週次で食われている時間」15分ヒアリング 本文例: ○○様、突然失礼します。〔自分の名前〕です。 〔業界〕でリソースを食いがちな作業(オンボード/レポート/一次返信など)を整理しており、15分だけお時間いただければ、どこに自動化が効き/効かないかをざっくり数値でお返しします。 営業はいたしません。学びのためです。ご都合のよい枠を2〜3候補いただけますと幸いです。

会話の型(LRP)

  • Listen:相手の一週間の流れをそのまま聞く。
  • Repeat:パターンを自分の言葉で復唱し、認識合わせする。
  • Poke:誰の何時間か、時給換算、ミス・手戻り、9〜12時の妨害要因、外注費などで深掘りする。

アウトプット:痛みのリストを、時間・コスト・頻度・ミス率つきで優先順位付けしたメモ。ここが次の PoC の入力になる。

4 · 手順③ 1題だけ PoC で解く

目的:相手の世界を理解していることと、技術的に届くことを同時に示す。完璧な本番はまだ不要。

おおよその時間配分(目安)

  • 約15分:トリガー・手順・データの出入り・完了条件を紙または図で一枚にする。
  • 約60分:一つのプラットフォーム上で、クリックできる粗い実装にする。連携は最小限。
  • 約15分:顔出しで短い画面録画。ビフォー・アフターと「誰がどう楽になるか」を口頭で言い切る。

避けること:マルチエージェントの見栄、ベンダー乱立、火曜の詰まり一つなのにプラットフォーム構築、など過剰設計。既存の CRM や標準機能で足りるなら、そこで止める判断力も見せる。

5 · 手順④ 価格を「投資」に変換して提示する

手順

  1. 対象プロセスの週あたり時間を確定する(ヒアリング値)。
  2. その時間の金額換算を合意する(社内平均給与・外注単価など、相手の定義でよい)。
  3. 自動化・半自動化で落ちる割合を保守的に置く(例:60%)。
  4. 月次・年次の削減額を出し、提示価格をその一部として説明する。

注意:請求根拠は「自分の作業時間」ではなく相手に残るアウトカム。短時間で作れたとしても、価格は削減価値にアンカーする。

スコープ文書に必ず書く項目:目的、含む/含まない、納期、相手側の協力事項、検収条件、支払条件。あいまいさは後から損失になる。

6 · 手順⑤ 実績・スコープ・再販
  • 最初の数件は、金額より事例・推薦・手順の型を優先してもよい。返金保証でリスクを反転させる選択肢もある。
  • 導入前後で同じ指標を測り、ビフォー・アフターを一枚にまとめる。
  • 次の商談では「同じ業態で同様の課題を三件解いた」として、再現性を前面に出す。
  • 提案は常にフレームに戻す:診断→構築→価値化→価格。
7 · 当日チェックリスト
8 · 初日〜1週目の動き(提案寄りの営業)

初日営業ホームの90分オンボーディングを完了。記録テンプレをスプレッドシートに貼る。

2〜3日目:架電のみ。1日の目安はトーク集のKPIに合わせ、記録の「次アクション日」埋め率100%を優先。提案用のメモは「週次で食っている作業」を1行ずつ。

4〜5日目:送付した診断URLの再コール。反応が薄い先には「数値で返す」と約束した一文を再度添える。

1週目の金曜:自分のボトルネックを1つ書く(例:開口が弱い/送付後が弱い)。翌週はその1点だけトーク集を追加で読む。

9 · 架電・再コールの例文(AI・効率の切り口)

業種・トーンは調整すること。長く話さない。

【受付突破〜30秒】 「お忙しいところ恐れ入ります。SNSや事務作業の時間、週にどれくらい取られてますか、という点でお電話しています。30秒だけよろしいでしょうか。」 【資料送付の許可】 「3分で終わるチェックシートのURLだけお送りしてもよいですか。営業はしません。ご返信は不要で、見ていただければ結構です。」 【3日後フォロー】 「先日お送りしたシート、ご覧いただけましたでしょうか。よろしければ15分だけ、数値でフィードバックさせてください。」
10 · 断りへの一言返し(その場で使う)
相手「忙しいからまた」
あなた「承知しました。では明日同じ時間におかけ直しでもよいですか。それとも木曜の午前はいかがですか。」日時確定
相手「うちは大丈夫」
あなた「ありがとうございます。念のため1点だけ、〔業界〕だと〔レポート/一次返信など〕で週が潰れがち、と伺うことが多いのですが、そちらはいかがですか。」具体化
相手「メールして」
あなた「ありがとうございます。件名と本文をその場で申し上げますので、差し支えなければメールアドレスを頂戴できますか。」
相手「料金が高い」
あなた「おっしゃる通り投資です。先ほどの週○時間の話だけでも、年間では○○円規模になるので、まずその数字が合っているか確認させてください。」価値に戻す

深堀りは 営業トーク集 の断り返しタブ。ここは最短の逃げ道を塞ぐ用。

11 · CRMに書く最低項目(提案活動)
  1. 現状の痛み:相手の言葉そのまま1行。
  2. 数値仮説:週○時間・月○円など、自分が置いた仮定を1行。
  3. 次の約束:送付物・日時・誰が何をするか。
  4. 競合・代替:「今はExcel」「外注中」など、失注リスクの種。

週次レビューで見るのは次アクションが空白の件数だけでもよい。