「AIエージェント」ではなく、経営が払う言語で売る
相手が買うのはノード数ではなく、時間・お金・集中の改善です。提案から初受注までの実務手順に整理しています。
経営が見ている軸は三つだけ:時間の削減、お金の損得、集中を奪うノイズの除去。届け方が AI でも人でもツールでも、評価軸は同じです。
「ツール名」で売らない。チャットボットやワークフローは手段。最初に出すべきは「週何時間が消えるか」「ミスでいくら出るか」「何が中断されるか」です。
差別化の方向:技術の複雑さより、相手の業務を言語化し、優先順位を付け、小さく動くものを早く見せること。初回の有料案件でも、派手さより痛みの除去が説得力になります。
診断
どこで時間・お金・集中が漏れているか。火事になっているプロセスはどれか。頻度・担当・時給換算・ミス率まで聞く。
構築
その痛みに直結する最小システム。最初は本番完璧でなくてよい。理解の共有と効果の検証が目的のプロトタイプでよい。
価値化
削減時間、削減コスト、売上・回収への寄与を数字にする。曖昧な「効率化」で終わらせない。
価格
年間で換算した価値に対し、明確に割安な投資として置く。「コスト」ではなく「回収できる投資」に見えるように説明する。
例(オンボーディング) 週5時間 → 自動化で8割削減 → 年間200時間超・時給換算で年間の金額イメージ → その一部を一回の構築費用として提示。
目的:同じ悩みが繰り返す領域に集中し、事例とテンプレが積み上がるようにする。
- 扱う業態を一つに絞る(例:代理店、不動産、EC、コーチ、地域サービス、SaaS など)。複数候補ならメモし、フィルタにかける。
- 次の三つを満たすか確認する:週次で繰り返す作業がある/意思決定と支払が速い/自分が言葉と文脈を持てる。
- その業態で多い「痛みの型」を3〜5個書き出す(例:リード選別、オンボーディング、レポーティング、コンテンツ運用、問い合わせ一次対応)。
- 自分が最初に手を入れる一題を仮決めする。広く浅くしない。
位置づけ:情報収集兼ディスカバリー。営業プレッシャーを下げ、学び目的で日程を取りやすくする。
初回メッセージの骨子:業界のボトルネックを整理していること、短時間で数値化して返すこと、相手の都合優先であること、押し売りしないことを一文ずつ入れる。
会話の型(LRP)
- Listen:相手の一週間の流れをそのまま聞く。
- Repeat:パターンを自分の言葉で復唱し、認識合わせする。
- Poke:誰の何時間か、時給換算、ミス・手戻り、9〜12時の妨害要因、外注費などで深掘りする。
アウトプット:痛みのリストを、時間・コスト・頻度・ミス率つきで優先順位付けしたメモ。ここが次の PoC の入力になる。
目的:相手の世界を理解していることと、技術的に届くことを同時に示す。完璧な本番はまだ不要。
おおよその時間配分(目安)
- 約15分:トリガー・手順・データの出入り・完了条件を紙または図で一枚にする。
- 約60分:一つのプラットフォーム上で、クリックできる粗い実装にする。連携は最小限。
- 約15分:顔出しで短い画面録画。ビフォー・アフターと「誰がどう楽になるか」を口頭で言い切る。
避けること:マルチエージェントの見栄、ベンダー乱立、火曜の詰まり一つなのにプラットフォーム構築、など過剰設計。既存の CRM や標準機能で足りるなら、そこで止める判断力も見せる。
手順
- 対象プロセスの週あたり時間を確定する(ヒアリング値)。
- その時間の金額換算を合意する(社内平均給与・外注単価など、相手の定義でよい)。
- 自動化・半自動化で落ちる割合を保守的に置く(例:60%)。
- 月次・年次の削減額を出し、提示価格をその一部として説明する。
注意:請求根拠は「自分の作業時間」ではなく相手に残るアウトカム。短時間で作れたとしても、価格は削減価値にアンカーする。
スコープ文書に必ず書く項目:目的、含む/含まない、納期、相手側の協力事項、検収条件、支払条件。あいまいさは後から損失になる。
- 最初の数件は、金額より事例・推薦・手順の型を優先してもよい。返金保証でリスクを反転させる選択肢もある。
- 導入前後で同じ指標を測り、ビフォー・アフターを一枚にまとめる。
- 次の商談では「同じ業態で同様の課題を三件解いた」として、再現性を前面に出す。
- 提案は常にフレームに戻す:診断→構築→価値化→価格。
初日:営業ホームの90分オンボーディングを完了。記録テンプレをスプレッドシートに貼る。
2〜3日目:架電のみ。1日の目安はトーク集のKPIに合わせ、記録の「次アクション日」埋め率100%を優先。提案用のメモは「週次で食っている作業」を1行ずつ。
4〜5日目:送付した診断URLの再コール。反応が薄い先には「数値で返す」と約束した一文を再度添える。
1週目の金曜:自分のボトルネックを1つ書く(例:開口が弱い/送付後が弱い)。翌週はその1点だけトーク集を追加で読む。
業種・トーンは調整すること。長く話さない。
| 相手 | 「忙しいからまた」 |
|---|---|
| あなた | 「承知しました。では明日同じ時間におかけ直しでもよいですか。それとも木曜の午前はいかがですか。」日時確定 |
| 相手 | 「うちは大丈夫」 |
| あなた | 「ありがとうございます。念のため1点だけ、〔業界〕だと〔レポート/一次返信など〕で週が潰れがち、と伺うことが多いのですが、そちらはいかがですか。」具体化 |
| 相手 | 「メールして」 |
| あなた | 「ありがとうございます。件名と本文をその場で申し上げますので、差し支えなければメールアドレスを頂戴できますか。」 |
| 相手 | 「料金が高い」 |
| あなた | 「おっしゃる通り投資です。先ほどの週○時間の話だけでも、年間では○○円規模になるので、まずその数字が合っているか確認させてください。」価値に戻す |
深堀りは 営業トーク集 の断り返しタブ。ここは最短の逃げ道を塞ぐ用。
- 現状の痛み:相手の言葉そのまま1行。
- 数値仮説:週○時間・月○円など、自分が置いた仮定を1行。
- 次の約束:送付物・日時・誰が何をするか。
- 競合・代替:「今はExcel」「外注中」など、失注リスクの種。
週次レビューで見るのは次アクションが空白の件数だけでもよい。